ワダイbyジェクトワン

空き家活用は不動産事業の非常識 -ジェクトワン代表・大河の挑戦

2020.12.17

「ジェクトワンといえば空き家活用」

――今やそのように言われるほど、ジェクトワンの看板事業となった空き家活用事業・アキサポ。

この事業を始めた背景には、ジェクトワン代表・大河の並々ならぬ熱意と社会への思いがありました。

ジェクトワンの社員にだからこそ語った、大河のアキサポへの思いとは。

空き家問題の解決は不動産会社の使命

―空き家活用事業を始めたきっかけを教えてください。

一番のきっかけは“空き家対策特別措置法”(空家等対策の推進に関する特別措置法)。
その頃はジェクトワンが8年目に入って、ちょうど何か新規事業をやりたいと考えていたのもあって、空き家活用として今のアキサポの仕組み(※)を始めようと思ったんだ。

でも、アキサポの仕組みは、いわゆるデベロッパーの「土地を購入して建物を建てて販売して」という不動産事業と逆をいくんだよね。

※所有者から空き家を借り受け、ジェクトワン負担でリノベーションし、新たな利用者に一定期間賃貸する仕組み。一定期間経過後は、生まれ変わった空き家を自ら使用することも、所有者と利用者との間で賃貸を継続して賃料収入を得ることもできる

―“逆をいく”というと?

不動産売買は銀行から借り入れをして、それを元手に不動産を仕入れて、建物を作ったり、リノベーションしたり価値を付加して売るもの。

1,000万円借り入れして1,000万円で仕入れた物件をバリューアップして売却の利益を得る、つまり借り入れによって少ない自己資金でレバレッジをきかせる事業なんだよね。

でも、アキサポの仕組みは最初にジェクトワン負担でリノベーションして、その負担分を何年かかけて賃料収入で回収するもので、担保する不動産もないから基本的には自己資金でやるしかない。

そうなるとレバレッジがきかないから不動産事業の常識の逆をいくんだよね。

―つまり、不動産事業の“非常識”に挑戦されたのですね。

そう。空き家の増加が社会問題化していたけど、それは不動産会社が解決すべきもの、不動産会社としての使命だとも思っていたしね。
誰かがその門戸を開かないと。

〇〇〇を作るも失敗に終わる駆け出し期

―事業を始めて、すぐに軌道に乗ったのでしょうか。

まずは空き家に関する情報を集めようと思って、アルバイトを数人雇って、実際に空き家を探しに行ってもらったよ。

その情報をもとに所有者さまにアプローチしたんだけど、もうね、全然(笑)やっぱり“不動産屋”っていうと警戒しちゃうみたいで、会ってももらえなかったよ。

あ、あと、ラジオCMもやったんだよ、2パターンほど、替え歌まで作って。

―替え歌!?

「♪~あきや~かつよう~♪」って感じの。
でもね、まあ、全然だったね(笑)結構お金かけたんだけどなぁ…。

―笑。空き家情報をもとにした営業も、ラジオCMも功を奏さず、次の一手は何だったのでしょうか。

ジェクトワンが四苦八苦しているなか、とある会社が空き家に関する事業をするという内容の記事が新聞に出たの。
小さい記事だったのに、その会社、記事をきっかけにお客さまからの問い合わせがすごく増えて、反響がすごかったんだよ。

それで気づいたね、「空き家はこちらからの営業じゃない、パブリシティによりお客様が反応して自ら問い合わせをしてくることが正しいんだ」って。

それからはパブリシティを目的としたPRに徹することに変更して、NPO法人を立ち上げて自治体との空き家問題解決に向けての連携も積極的に行って、少しずつジェクトワンの空き家活用が浸透していった感じだね。

視認性の悪さを逆手にとった、アキサポだからできた提案

―アキサポ草創期において、思い出深い活用事例はありますか。

そうだな、まさにアキサポというのであれば、大田区仲六郷のバイクガレージかな。

元々健康食品の倉庫兼事務所だったんだけど、10年以上放置されていてね。
奥まったところで、いわゆる視認性が悪くて、お店やるにも人が住むにも適していなくて。

でもその視認性の悪さを逆手にとって、バイクガレージにしたんだ。そうしたら即満車。
エリア特性もつかんだうえでの良い活用方法を提案できたんじゃないかな。

―そういった提案ができるのは、“「建物ありき」ではなく「地域や場所ありき」の発想での開発”を信念とするジェクトワンならではですよね。

うん、ジェクトワンはマンション、戸建て、というように限定せず、マルチカテゴリーの不動産事業に取り組んでいるからね。

「地域や場所にあった開発」というのはジェクトワンを起業した根底にある想いだよ。

《10年以上放置されていた倉庫兼ガレージ(写真左)は、バイクガレージ(写真右)に生まれ変わった

アキサポへの相談が新たな発見につながる

―大河社長の考えるアキサポの魅力を教えてください。

アキサポへの相談によって、今まで何も使えないとあきらめていた空き家について、新しい発見があることかな。
活用という手段が見いだせれば、空き家自体の価値も上がるわけだし。

もちろん、売却や解体がベストという判断もあるよ。
どの選択肢であっても、ジェクトワンならその最後まで提案できる。

―空き家についてワンストップで提案できるということですね。しかも活用の場合は、ジェクトワンが改修費用を負担するので、所有者さまにとってはより幅広い提案を受けられることになりますね。

そういうことだね。

家というのは大切な資産で、何より色々な想いが詰まっている場所だから、手放さないで済む方法をなるべく提案できるといいよね。

―でもジェクトワンが改修費用を負担するということは、ジェクトワンがリスクを負うことになりますよね。正直、会社としての利益という点から見てどうなのでしょうか。

確かにリスクは負うよ。

でもさ、それでも空き家問題の解決のためにはやらなきゃいけないことだと思っている。
それで空き家が再生して地域も元気になったら、不動産を扱う者として嬉しいよね。

《ただアキサポの事業を展開するだけではなく、大河自ら空き家活用のセミナーに登壇し、空き家活用の重要性について啓蒙活動を行っている

アキサポの仕組みをみんな真似してほしい

―2015年に空き家対策特別措置法が施行されたものの、空き家活用事業への参入が非常に少ないと感じるのですが、この点いかがでしょうか。

やっぱり利益重視の事業ではないことと、何より金融機関からの融資によりレバレッジをきかせられない事業だから、参入にも勇気がいるんだよ。

裏を返せば、レバレッジがきかせられるなら、どんどん参入が増えると思う。

僕としては、みんながアキサポの仕組みを真似してどんどん入ってきてほしいんだよね。
ジェクトワンだけで独占したいなんてちっとも思ってない。

―え、他社の参入ウェルカムなのですか?

もちろん。

新しい事業の形として社会的に確立されたら、銀行も融資できるようになるじゃない?

そうしたら、社会全体で空き家活用事業に取り組んで、空き家問題を解決できるでしょ。

―すみません、ジェクトワンの社員としてモーレツに感動にしております(笑)

 笑。

不動産に対する価値観の変化を起こしたい

―アキサポを通じて実現したい理想や夢を教えてください。

今まで不動産事業って古い建物を壊して新しく建てる、だけだったんだよね。

でもこれからは古いものを活かしていく、不動産は活用して再生するものだっていう、そういった価値観の変化を起こしたい。

最近リノベーション物件って当たり前のようになっているけど、それってリーマンショック後の話なんだよ。
それまでは新築一辺倒だったんだから。

リノベーションがここまで世の中に浸透したように、空き家活用も広がっていくといいよね。

―リノベーション物件がそんな最近のものだとは知りませんでした。

うん、そうなんだよ、価値観ってどんどん変わるよね。
アキサポ始めて4年経ったけど、まだまだ新しい発見があるよね。

この前、セゾン投信の中野会長(※)にジェクトワンのセミナーに登壇してもらったんだけど、空き家活用って投資信託の運用みたいでもあるんだなって気づいたよ。

眠っている資産、つまり投資信託の運用においては預貯金ってことなんだけど、それを価値あるものに投資して活用っていうことを考えれば、空き家も眠っている資産だから、立派な資産活用だよね。
そういった点でも、アキサポで力になれたらいいと思う。

※セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO 中野晴啓氏。2006年の創業以来、2本の長期資産育成型ファンドを通じて「長期・積立・国際分散」投資の啓蒙活動を行っている。

空き家に「放置」という選択肢はない

―最後に、アキヤノワダイ読者の方々に向けて、メッセージをお願いします。

空き家に「放置」という選択肢はありません。
放置しておけば、犯罪や事件・事故の温床にもなってしまいます。

空き家に残された選択肢は、「売却」「解体」「活用」の3つしかありません。

ジェクトワンは、空き家ごとの最良の選択肢のお手伝いができます。
ぜひ、アキサポにお気軽に相談してください。

80年以上にわたり営業を続けてきた「履物屋 かめや」をリノベーションし、2020年10月2日にオープンしたシェアキッチン「かめやキッチン」。そのオープニングイベントには、坂本健板橋区長(写真左から3人目)にもご出席いただいた

インタビュー後、余談で「空き家活用は難しいけどさ、難しいことをやって面白いことを実現していきたいよね」とお話されていたのが印象的でした。

空き家活用という新しい価値観が社会全体に浸透するその日まで、大河の挑戦はまだまだ続きます。

(聞き手・記事:ジェクトワン 山根)

大河幹男(おおかわ・みきお)/株式会社ジェクトワン代表取締役

三重県出身。大手デベロッパーを経て、「地域や場所ありきの開発をしたい」という思いから2009年に株式会社ジェクトワンを創業。世の中に真に望まれる不動産事業に取り組むために、単一ではなくマルチカテゴリーの不動産事業を展開。2016年より従来の空き家活用とは一線を画した地域に目を向けた社会問題解決型の空き家活用サービス「アキサポ」をスタート。