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相続放棄ってどうやるの?そのメリットや手順をご紹介

2020.07.14

「親から空き家を相続することになったけど、相続放棄するべきかどうか知りたい」

近年、日本では人口の減少により「空き家問題」が社会現象となっています。

特に住む予定のない空き家を相続することになりそうな方や既にされた方は、固定資産税などの金銭的な負担を心配されるのではないでしょうか?

この記事では、「相続放棄」に関する概要やメリットデメリット、実際に相続放棄をするための手順について具体的にご説明します。

相続放棄とは何か?

相続放棄とは、被相続人が遺すことになった財産に対する権利を全て手放すことです。

一度相続放棄をすると、土地や家屋、現金と言ったプラスの資産だけでなく、負債などのマイナスの資産に関する継承の権利を全て失うことになります。

以下より、相続放棄と財産放棄の違い、相続放棄で対象となる資産について紹介します。

相続放棄と財産放棄は違う

「相続放棄」はそもそも相続する権利自体を放棄するのに対し、「財産放棄(遺産放棄)」は相続する資産そのものを手放すことを指します。

相続が発生したにも関わらず遺言書などがなく各相続人の取り分が不明瞭であった場合、相続人間で「遺産分割協議」を行っていくことになり、法で定められた相続順位の上の親族(配偶者や長男等)から自分の取り分を決めていくのが一般的です。

なお、遺産放棄は相続放棄とは異なり負債に関する権利を手放すことは出来ません。

相続放棄で対象となるもの

相続放棄で対象となる財産には、権利者にとってプラスとなる財産(権利)だけでなく、マイナスをもたらす財産(義務)もあります。

その定義は、民法の第896条「相続の一般的効力」によれば以下の通りです。

『相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。』

参考:https://www.crear-ac.co.jp/shoshi-exam/minpou896/

相続の対象となる財産の具体例については以下の通りになります。

プラスになる権利財産の具体例

・不動産(土地・家屋)とその所有権利
・車や家具
・事業用の設備や道具
・現金、預貯金等
・預貯金や小切手などの金銭債権
・著作権や特許権などの各種権利

マイナスになる義務財産の具体例

・各種負債(借入金、ローン)の支払い義務
・未払い金の支払い義務
・他人の債務に対する保証義務

相続放棄のメリット

相続放棄のメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

・負債を相続しなくて済む
・面倒な相続問題に巻き込まれない
・管理費がかかる物件を相続しなくて済む

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

明らかに多い負債を相続しなくて良い

相続放棄を検討される方は、「負債を手放すため」という事情を抱えているケースが多いのではないでしょうか。

「親族に生前借金があり、財産よりも額が大きかった」という場合は、明らかなマイナスの資産となりますので、相続放棄をするのが賢明です。

また、被相続人の負債の返済が遅れていた場合は「遅延損害金」の支払い義務も生じたり、連帯保証人としての義務も当時に相続することになってしまいます。

面倒な相続問題を考えなくて良い

先述した通り、遺産相続の取り分が不明瞭であった場合、相続人間でそれぞれの取り分について協議しなければなりません。
相続放棄をすれば「遺産分割協議」に関する一切の手続きや話し合いに参加する義務もなくなります。

他の相続人からの連絡に出る必要もなくなりますので、相続人間のいざこざや不要なトラブルに頭を悩ませる必要もなくなるでしょう。

山林や空き家など管理費がかかる物を相続しなくて良い

遺産相続においては、山や農地などといった田舎の土地、今は使っていない空き家を相続するケースも多々あります。

自分が住んでいる場所から遠い場所にある山や農地を相続した場合、管理は業者に発注することになりますので費用ばかりが嵩んでいくことがネックです。

また、住む予定のない空き家を相続してしまうと、土地の資産価値が低ければ、家屋の取り壊し費用が土地の売却金を上回ってしまい負担となります。

相続放棄のデメリット

では、相続放棄をすることにはデメリットがあるのでしょうか。考えられるのは、以下のようなものです

・限定承認の手続きが可能な場合は損をする可能性
・遺産を全て手放すことになる

それぞれ、ご説明していきます。

限定承認の手続きが可能な場合は損をする事もある

相続する負債の額が不明瞭な場合、検討するべきなのが「限定承認」という制度です。

限定承認とは、相続する負債額が資産内に収まりプラスとなる場合に相続を実行する仕組みで、思わぬ借金を抱えるリスクを減らすことができます。

どうしても残しておきたい遺産は「先買権」等を使って残しておけるというメリットがありますが、限定承認の実行には相続人全員の承諾を得なければななりません。

相続財産を一切、相続することができない

相続に際して、被相続人と一緒の家に住んでいた場合などには特に注意しなければなりません。

相続放棄をすれば遺産に関する権利を全て手放すことになりますので、自分の他に遺産を相続する権利を持った相続人がいなかった場合、住む場所を失うことになってしまいます。

相続放棄は、借金や空き家だけといった不利益をもたらす遺産の相続を手放そうとすれば、自分にとって必要な遺産も全て手放すことになりますので、慎重に検討しましょう。

相続放棄の具体的な方法

不動産の売却手続き

相続放棄に関する手順は、一般的には以下の通りとなります。

①必要な書類の収集する→②家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する→③家庭裁判所から届いた照会書に返信する→④家庭裁判所からの相続放棄申述受領書を受け取る

順番に沿って、具体的にご説明します。

①必要な書類の収集

相続放棄に必要な書類は、相続人と被相続人の関係性によって変化します。

いずれの場合も必要な書類は以下の3つです。

<基本の3書類>

・相続放棄申述書
・被相続人の住民票除票又/戸籍附票
・相続放棄の申立人の戸籍謄本

被相続人との関係性に応じて用意しなければならない書類については、次のようになります。

被相続人の配偶者 ・基本の3書類
・被相続人の死亡を証明する戸籍謄本
被相続人の子供や孫 ・基本の3書類
・被相続人の死亡を証明する戸籍謄本
・本来の相続人の死亡を証明する戸籍謄本(※申立人が孫の場合)
被相続人の両親や祖父母(※ただし直系尊属) ・基本の3書類
・被相続人の出生から死亡時までを証明する戸籍謄本
・被相続人の子供の出生から死亡時までを証明する戸籍謄本(※死亡者がいた場合)
・被相続人の直系尊属の出生から死亡時までを証明する戸籍謄本(※死亡者がいた場合)
相続人の兄弟姉妹、甥や姪 ・基本の3書類
・被相続人の出生から死亡時までを証明する戸籍謄本
・被相続人の子供の出生から死亡時までを証明する戸籍謄本(※死亡者がいた場合)
・被相続人の直系尊属の出生から死亡時までを証明する戸籍謄本(※死亡者がいた場合)
・本来の相続人の死亡を証明する戸籍謄本(※申立人が甥姪の場合)

②家庭裁判所に相続放棄申述書を提出

必要書類を集め終われば、被相続人の住民票が登録されている地域を管理する裁判所に必要書類を提出し、相続放棄を申し立てることになります。

この際、実際に手続きを行うのは申立人本人でなければなりません。相続放棄をする人物が未成年であった場合は、親などが代理人として申し立てを行うことも法的に可能です。

相続放棄の申し立ては、相続の開始を知って(相続人が亡くなった日)から3ヶ月以内という期限が設けられていますので、実際に相続放棄を検討している方は気をつけましょう。

③家庭裁判所からの照会書に返信

家庭裁判所に書類を提出し、申し立てが完了したあとは裁判所から照会書が送られてきます。

この照会書とは相続放棄の内容に関する最終確認となり、必要事項に記入をしたら裁判所へ返送しましょう。

相続放棄に関する照会書が送られてくるタイミングは、申し立てが受理されてから10日後となっています。

④家庭裁判所から相続放棄申述受領書が届く

照会書を返送してさらに10日が経過すると、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。この時点で、正式に相続放棄が認められたことになるのです。

この書類は万が一紛失してしまうと再発行ができませんので、その際は「相続放棄申述受理”証明書”」という別の書類を発行することになります。

まとめ

相続放棄に際して負債などの金銭的な問題に関してはすぐに判断ができますが、相続する土地や家屋、特にまだ十分住めそうな「空き家」に関しては頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。

空き家には、放置をすれば倒壊の危険性が高まるほか、老朽化による資産価値の低下などのリスクにつながる危険性もあります。

空き家問題に関するリスクについて知りたい方はこちら

相続放棄に関しては財産調査や各種書類の記入など必要な手続きがたくさんありますが、3ヶ月という期限もあります。事前に必要な事柄について整理しておくことで、いざという時に慌てなくても済むのではないでしょうか。