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空き家問題とは?原因と対策から活用への道を知る

2020.11.27

「空き家問題」とは、日本における空き家率の増加、および空き家を原因とする周辺環境への悪影響・犯罪リスクの上昇などを示す言葉です。

空き家を持つ全ての人にとってこの空き家問題は他人ごとではなく、原因や課題を知ったうえで適切な対策を行うことが、空き家問題の解決、さらには効果的な空き家活用を進めるうえでも欠かせないポイントだといえるでしょう。

今回は「空き家問題とは?」をテーマに、日本における空き家の現状や課題、空き家問題の解決策から活用法に至るまで、分かりやすく解説しました。

空き家問題とは

空き家問題とは

空き家問題とは、文字どおり「空き家に関連した問題」の総称であり、具体的には以下の点が問題視されています。

1.日本の空き家率は1958年以降、増加し続けている
2.管理の行き届いていない空き家は衛生・防災・犯罪などさまざまなトラブルの種となる

これらの問題を中心に、空き家問題とは何か?をここでは詳しく解説しましょう。

空き家率の増加

まずは日本における空き家率が時代と共にどのように推移しているのか、総務省統計局による「平成30年住宅・土地統計調査」をもとに確認してみましょう。

【空き家数および空き家率の推移-全国(1958年~2018年)】

空き家率グラフ

参照:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html

上記のグラフから分かるとおり、空き家率(全国の総住宅数のうち空き家が占める割合)は1958年以降右肩上がりが続いています。

2018年の空き家率は過去最高の13・6%を記録し、調査時点で実に848万9千戸もの空き家が日本に存在していたことを示しています。

もちろん政府としても増え続ける空き家率にストップをかけるべくさまざまな施策を行っているとはいえ、データを見る限り、空き家問題が解決に至るにはまだまだ時間がかかると予想されます。

空き家が抱える問題点・リスク

空き家が増え続けているのは前述の とおりですが、「空き家が増えると何が問題なのか?」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、単に「空き家が多い」というだけで問題視されているわけではなく、空き家にはさまざまなリスクや問題が潜んでいることから、空き家率の増加は懸念されています。

【空き家が抱える代表的な問題点・リスク】
・景観の悪化…草木が荒れ放題になり、景観を損ねる
・悪臭や環境汚染…不衛生な環境のため悪臭や汚染を引き起こす
・災害発生の原因となる…家屋の損壊などにより災害を引き起こす
・犯罪行為に用いられる…不法侵入や放火、窃盗など多種多様な犯罪の温床となる

つまり、放置された空き家は環境への悪影響だけでなく、治安面の悪化まで招くリスクも抱えており、周辺地域にとって悩みの種となってしまうのです。

これら複雑な問題を抱えている空き家が日本全国で今なお増え続けているわけですから、近年社会問題化しているのも納得でしょう。

空き家問題の原因

空き家問題 原因

空き家問題の根本的な原因は「空き家率の増加」です。

極論、空き家が0になれば空き家で起こり得るトラブルやリスクの心配はなくなるわけですから、空き家の数を減らすことが空き家問題解決に欠かせない要素のひとつであることは間違いありません。

とはいえ現状、空き家率は減少するどころか増加の一途を辿るばかり。

そこでここからは、「空き家が増え続ける理由」をより深く掘り下げながら解説することにしましょう。

高齢化社会の影響

高齢化社会

少子高齢化問題に代表されるように、近年日本で進む高齢化社会の影響は空き家率の増加にも深く関係しています。

自身の持ち家に住む高齢者が子供宅や老人ホームに転居するのはよくある話ですが、この際に空き家が発生してしまうケースが多くなるのです。

高齢者が増加する一方で、少子化により子供は減少。

結果的に高齢者が住んでいた住居を受け継ぐ子供の数が少なくなり、空き家率増加がなかなか改善されない一因となっているわけです。

ただし、全ての空き家が高齢化社会の影響を受けているとは言えません。

【空き家の種類】
・賃貸用…賃貸用だが、入居者募集中の空き家
・売却用…販売しているがまだ売れていない空き家
・二次利用…別荘など普段使われていない物件
・その他…上記以外の空き家(放置されている空き家含む)

空き家は上記4種類に分類できますが、特に問題視されているのが「その他」に分類される空き家です。

「その他」以外の空き家は用途がはっきりしているため管理が行き届いている傾向が高いのに対し、「その他」の空き家は用途が定まっておらず、管理する必要性を所有者が感じられないというのが大きな理由です。

仮に高齢者が亡くなった後に住居が親族へ相続されてもそのまま住むとは限らず、実際に相続した人が空き家を放置するケースは珍しくありません。

放置の理由は「家が遠すぎる」「家の中を整理する時間がない」など千差万別ですが、これらの物件は明確な用途が定められていない「その他の空き家」に分類されることとなり、結果として放置された空き家が増える要因となるのです。

新築住宅を好む日本人の傾向

新築住宅を好む日本人

世界の中でも、日本人は「中古住宅より新築住宅を好む傾向を持つ」と言われており、この性質も空き家率増加の一因になっていると考えられます。

そもそも住居に限らず、「新しく購入するものは中古より新品が良い!」というのは自然な感覚かもしれません。

しかし、日本はこれにくわえ、中古住宅の資産価値を査定する適切なノウハウ・仕組みが整備されていないことも影響し、「中古 < 新築」の傾向が強くなっていると考えられるでしょう。

事実、総務省による平成30年住宅・土地統計調査で明らかになった以下データでも、持ち家の取得方法において「中古 < 新築」の構図が明らかになっています。

【持ち家の取得方法】
・新築(建て替えを除く)…990万2千戸
・新築の住宅を購入…738万9千戸
・建て替え…565万6千戸
・中古住宅を購入…483万3千戸

参照:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html

こうした日本人特有の傾向も相まって、「新築戸数は減らないのに空き家は増える」という状況が生み出されているのかもしれません。

節税目的

節税と空き家率の増加に何の関係が?」と疑問に思われる方もいるでしょう。

ですがそれほど難しい話でもありません。

放置された空き家はさまざまなトラブルの種になることはすでにお伝えした通りですが、そうなると所有者の中には「いっそのこと建物を取り壊して更地にしてしまおうか?」と考える人が出てくるものです。

確かに、空き家を荒廃させないためには、適宜整備や管理を行う必要があるとはいえ、時間や手間、さらにはお金がかかってしまいますし、「それなら解体してしまおう」と考えたくなる気持ちは自然な感覚かもしれません。

ところが建物を取り壊して更地にした場合、実は固定資産税が最大6倍・都市計画税が最大3倍にまで跳ね上がってしまう可能性があるのです。

現在の法律上、空き家を更地にすると税金面でのデメリットが大きくなってしまうことから、「節税目的でとりあえずそのままにしておこう」と考える人も多く、結果的に空き家がなかなか減らない一因になっていると言えるでしょう。

空き家問題に対する行政・民間の対策

空き家 行政 対策

空き家問題の原因はいくつか存在しますが、これまで何の対策も行われてこなかったわけではありません。

過去、そして現在進行形で行政・民間などさまざまな分野にて空き家問題解決に向けた施策は実施されています。

行政による空き家問題への対策

売却用や賃貸用など明確な用途が設定されていない「その他の空き家」について、日本政府は「2025年までに約500万戸へ増えるとされる空き家を、400万戸に抑える」ことを目標に掲げています。

そのための具体的な施策の中心となるのが、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、「空き家対策特別措置法」)」。

周辺環境に悪影響を及ぼす可能性のある空き家に対して、勧告・命令・強制執行などを実施できる本法律を軸に、本格的な空き家率増加の抑制へ乗り出しました。

この空き家対策特別措置法の中では、勧告・命令・強制執行など問題のある空き家を「特定空家」に指定することで、所有者に対して「建物の解体や修繕」「立木竹の伐採」といった助言・指導を行えるものとしており、以下の条件に当てはまる空き家は特定空家に指定されることとなります。

・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

もちろん特定空家に指定されれば、法に則り、適宜助言・指導が行われることになるだけでなく、通常の空き家で適用される「固定資産税を最大6分の1にまで軽減する」という特例措置が外れることになるため、大きな痛手となります(最大で6倍にまで税額が跳ね上がる)。

【特定空家等に対する自治体の措置実績】

空き家対策特別措置法の措置状況

参照:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html

ご覧のとおり、空き家対策特別措置法施行後の3年間だけでも、特定空家に対して1万件以上の助言・指導・強制執行などが実施されており、今後も引き続き問題となる空き家の減少に向けて行政も力を入れることになるでしょう。

民間による空き家問題への対策

行政による空き家問題対策とは別に、民間でもさまざまな対策・取り組みが実施されています。

身近なところでは、各自治体や住民、民間企業(不動産会社など)が協力し合いながら空き家を巡回して情報共有を行う「空き家の見守り」などの取り組みがありますし、「空き家バンク」も各地で広く普及しています。

「空き家バンク」とは、空き家の賃貸・売却を希望する所有者からの提供情報を集約し、「借りたい・住みたい」と考える希望者とのマッチングを仲介する制度です。

また、さまざまな空き家対策の中でも近年とりわけ人気なのが、自由度の高い「空き家活用」

シェアキッチンやパーキング、飲食店など立地や建物の様式に合わせて柔軟に空き家を変身させられる「空き家活用」では、リノベーション・活用プランの提示・入居者の募集など、面倒な作業を一括して任せたうえで資産価値を高められることから、空き家所有者の間で注目を集めています。

空き家 活用事例
「空き家活用」の詳しい仕組みやリノベーション・活用事例の詳細はこちら

空き家関連の税金に注意!

空き家 税金

空き家対策特別措置法が施行され、特定空家に指定されるリスク加わったことから、空き家を放置せず適切に管理したいと考える所有者は増えています。

もちろん売却・賃貸・活用と、空き家の管理方法・使い道で何を選ぶかは自由ですが、「使い道が決まるまではひとまず様子見」と考える方も中にはいらっしゃるでしょう。

しかし、空き家は所有しているだけで維持費がかかってしまうもの。

【空き家にかかるお金の具体例】
・固定資産税
・都市計画税
・火災保険
・水道光熱費
・修繕費用

中でも避けて通れないのが、税金関係の出費です。

固定資産税は土地・建物の所有者に課せられる税金で、仮に空き家であっても支払わなければいけません。

また、空き家の立地が市街化区域に指定されている場合は都市計画税の対象にもなります。

ただし、空き家をはじめとした「人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地」には、所有者の負担を軽減させるための措置として「住宅用地の軽減措置特例」が適用される仕組みとなっています。

住宅用地の特例

「住宅用地の軽減措置特例」が適用されると、固定資産税は最大で1/6まで、都市計画税は1/3まで減額されることになるわけですが、一方で上記の一覧表が示すとおり、更地の場合は税金の減額がありません

更地は「非住宅用地」に該当し、「住宅用地の軽減措置特例」適用の条件である「住宅用地」とは異なる扱いだからです。

したがって、安易に空き家を解体して更地にしてしまうと、土地の固定資産税や都市計画税が「住宅用地の軽減措置特例」の対象外となり、税金が数倍に跳ね上がってしまう可能性があるため注意が必要です。

空き家を活用すれば一石二鳥!

ここまでご紹介してきたとおり、空き家問題の大きな要因は「空き家の増加」「空き家が抱える問題・リスク」の2つが主軸となっており、放置するのは得策ではありません。

むしろ「空き家対策特別措置法」が施行された現在となっては、「特定空家」に指定されるデメリットが加わったことで、早期に適切な空き家の整備・管理が求められると言えるでしょう。

ただし、空き家は所有しているだけで税金をはじめとした維持費がかかるものですから、単に整理・管理に努めるだけでなく、空き家活用まで見越して手を打つことがリスク回避、さらには有効な資産運用につながります

アキサポ」ではこれまで、さまざまな特徴を持つ空き家の整理・管理・活用など幅広いサポートを行ってきました。

空き家活用で分からないこと、面倒なことなど、お困りごとがありましたら、専門スタッフが丁寧にお答えしますので、お気軽にお問い合わせください。