これからの暮らし

空き家にならないための対策とは?いまからできる解決プラン

2020.05.25

空き家は国内の総住宅数の13.6%を占めており、その数は約850万戸に上ります(平成30年度)。今後さらに増えることが予想されるなか、誰も住まない空き家を減らすことは、国や自治体としても重要な課題となっています。

それでは、自分の実家を空き家にしないためには、どのような対策を行えばよいのでしょうか。「売却」「管理」「活用」などさまざまな方法がありますが、まずは空き家にかかわる法律を理解することが大切です。

ここでは2015年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家法)や、行政の取り組みを理解した上で、自分の状況に合った具体的な対策を考えていきましょう。

参考  https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf

空家等対策特別措置法とは

空家等対策の推進に関する特別措置法に指定された家

「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家法)とは、放置されたままの空き家が地域住民の生活環境に影響を及ぼしているため、これらを改善するために施行された法律です

「空き家法」の施行によって、自治体には空き家対策を実施する努力義務が課せられると同時に、対策を実施するための裁量も拡大されます。

空き家法の内容は以下のように大きく5つに分かれています。

・市町村は、国の指針に即して空家等対策計画を策定する
・市町村は、空き家等への調査、データベースの整備等を行う
・空き家にかかわる情報提供、利活用のための対策を実施する
・倒壊等のおそれのある「特定空家等」に対して、助言・指導等を行う
・空き家対策にかかわる費用補助、地方交付税制度が拡充される

この法律のなかで、空き家の所有者に直接かかわるのは、『倒壊等のおそれのある「特定空家等」に対して、助言・指導等を行う』という内容です。

仮に空き家が「特定空家等」に指定されてしまうと、行政の判断で「立入調査」「指導・勧告・命令・代執行」の措置がとられてしまいます。代執行の上、解体された場合、その費用は最終的に所有者本人が負担することになります。

「特定空家等」とは、以下のような状態と判断されると指定されます。

・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

空き家をしばらく放置してしまい、管理ができていない場合、上記のような状態になっている可能性があります。こうした「特定空家等」に指定される前に、空き家の所有者は対策を行うことが重要になってきます。

参考  https://www.mlit.go.jp/common/001080534.pdf

空き家対策の現状は?現在の取り組み

調査しているイメージ

「空き家法」が施行されて約5年が過ぎ、「空き家問題」が社会的な認知度を増してきました。しかしながら、総務省と国土交通省が2020年1月に開示した「空き家対策に関する実態調査結果」からは、前進しているとはいいがたい状況が伺い知れます。

なぜ「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたのにもかかわらず、空き家問題は解決へと進まないのでしょうか。

それには、おもに5つの要因が考えられます。

・空き家の所有者の特定が煩雑
・助言、指導しても所有者が動かない
・解体の代執行の手順不明、費用回収が困難
・空き家の利活用件数が伸びない
・全般的に人が足りない

これらの要因について詳しく見ていきましょう。

参考  https://www.soumu.go.jp/main_content/000595409.pdf

空き家の所有者の特定が煩雑

1軒の空き家につき所有者は一人とは限らず、相続等の関係で複数人で所有している可能性があります。全員を特定するために、行政側の事務負担が大きくなるのは想像できるでしょう。また、各地方行政において担当する職員の人数も限られており、すべての空き家に対応しきれていないのが現状のようです。

助言、指導しても所有者が動かない

所有者を特定し助言・指導をしても、所有者がその通りに改善するとは限りません。一回の助言・指導で改善が見られなかった71事例のうち、「無反応」(21事例)、「経済的理由」(18事例)、「相続放棄・相続人間のトラブル」(8事例)という状況が続いています。

解体の代執行の手順不明、費用回収が困難

解体を意味する「代執行」を実施する段階になっても、空き家はそれぞれケースが異なるため、実施手順に関する明確なフローがありません。担当職員からすれば、一体どこから手をつければいいのか分からず、代執行した後の解体費を所有者から回収することが困難な実情もある故、代執行がためらわるようです。実際に代執行を実施した48事例中、解体費用を回収できたのはわずか5事例にとどまっているようです。

空き家の利活用件数が伸びない

調査した93自治体のうち、55の自治体が移住・定住促進のために、空き家バンクを運営しています。しかしながら、移住・定住や空き家を活用したいという需要はあるものの、空き家バンクへ登録する戸数が少なかったり、所有者が空き家を活用する動きも鈍いといわれています。

全般的に人が足りない

全般的に空き家対策人員の人材不足も問題視されています。空き家対策の実施は各自治体で行っていますが、都内23区の行政でも、空き家対策人員は1〜3人で行っているのが現状です。

放置せずに対処すべき理由

夫婦で話し合っているイメージ

国や自治体により空き家対策が行われていますが、空き家の所有者本人が対策を行うことがもっとも大切です。もし空き家をそのまま放置してしまうと、解体の代執行以外にもさまざまなリスクがあります。

詳しくは「うちの家は大丈夫?「空き家問題」で起こりうるリスク、原因、対策を解説」で紹介していますが、自分だけでなく、近隣に住む方や地域住民にも迷惑をかける事態へと発展する可能性も。そのまま放置しないようにするためにはどのような方法があり、どのくらいの費用がかかるのかを理解しましょう。

参考  https://land.home4u.jp/guide/land-usage-expert-4-159
   http://www.hrr.mlit.go.jp/kensei/machi/akiya/kaisai03/02_honsho.pdf

空き家対策にかかる費用のシミュレーション

シミュレーションのイメージ

空き家を放置しないためには、大きく「売却」「管理」「活用」の3つの方法があります。それぞれどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

売却する場合

更地になった家

空き家を売却すれば、資産を現金化できます。しかし同じ売却でも、「空き家のまま売却する」か「解体して更地にして売却する」かによって、状況は変わってきます。

空き家のまま売却した場合、解体費を必要としないため、金銭的な負担が少なくなることがメリットです。しかし、そのまま売却できるかは家の状態などにもよるため、個々のケースにより異なります。

東京都内、築30年、土地面積100㎡、延床面積120㎡の居住用戸建の場合 ①建物付で売却した場合(個人向け仲介)

土地 3,932.5万円
建物 200万円

②譲渡にかかる費用

仲介手数料 129.98万円
土地境界確認 20万円
抵当権抹消登記 5万円

③手取り(①-②) 3,977.53万円

※住宅ローンは支払い済だが、抵当権抹消は未登記
※最寄り駅より徒歩15分
※成約事例による平均坪単価:約130万円とした場合


反対に、更地にして売却した場合は解体費を負担しなければいけないため、金銭的負担がのしかかります。

東京都内、築30年、土地面積100㎡、延床面積120㎡の居住用戸建の場合 ①相続後、空き家の3,000万控除を使った売却

土地 3,932.5万円


②譲渡にかかる費用

仲介手数料 129.98万円
土地境界確認 20万円
相続登記 30万円
抵当権抹消登記 5万円
建物解体費 200万円


③手取り(①-②) 3,547.53万円

※住宅ローンは支払い済だが、抵当権抹消は未登記
※最寄り駅より徒歩15分
※成約事例による平均坪単価:約130万円とした場合


維持・管理する場合

掃除されている家

空き家を維持・管理することは建物の老朽化を遅らせることはできますが、根本的な解決には至りません。特定空家等に指定されるリスクは軽減されますが、維持・管理をしていくためには、費用や人手が必要となります。

東京都内、築30年、土地面積100㎡、延床面積120㎡の居住用戸建の場合 維持・管理費

月額1万円


10年間 維持・管理をした場合の費用 120万円

空き家を「活用する」という選択肢

業者と相談している所有者

家は維持しつつ、資金も得たいという場合、空き家を活用するという選択肢もあります。

例えば、ジェクトワンの空き家再生事業「アキサポ」を利用した空き家所有者のうち、88%が自己負担ゼロ円で物件を再利用しています。さらに、利用者の73%は年間で20万円以上の収入を得ることができています。

東京都内、築30年、土地面積100㎡、延床面積120㎡の居住用戸建の場合 収入

月額5万円


10年間借り上げた場合の収入 60万円

物件を売却、管理するだけでなく、再活用することで空き家対策につながることもあります。住まいの将来を考えたとき、活用するという選択肢があることをぜひ知っておいてください。