ワダイの活用術

「空き家は挑戦の場-DIYによる空き家再生で場所づくりに取り組む若き挑戦者」

2021.01.07

今回は、ジェクトワンが手がける空き家活用事業「アキサポ」を通じ、豊島区池袋本町にある2階建の店舗兼住居からシェアハウスへの活用を行った、シェアハウス「いっぽ」代表の高濱希衣(たかはま・きえ)さん(写真中央)を取材しました。

DIYでの“理想のシェアハウス作り”に取り組む高濱さんに、そのきっかけや魅力を伺います。

様々な空間デザインへの挑戦と一つの答え

―元々は空間デザインをやられていたと伺いました。

はい。映画の「ホノカアボーイ」や「しあわせのパン」ってご覧になったことありますか?

どちらも、大切な人に、美味しいご飯を通じて想いを届けるような物語なのですが、小学生時代にそれらを観て、その世界観に感動しまして。

「あの映画のような世界観を作りたい!」という思いが強くなって、空間デザインの道を志しました。

―実際やってみていかがでしたか。

パン屋さん、レストラン、バー、カフェ…
様々な業態での空間デザインに挑戦したのですが、すべてしっくりこなくて…

このままでいいのかな、と悩んでいたところで、偶然出会ったキャンドルアーティストの女の子から、私自身を表現したキャンドルをもらったんです。

―高濱さん自身を表現したキャンドルですか。

青とオレンジで、海に夕日が浮かぶイメージを表現したキャンドルで。

それを見て、これだ!と。

私が作ってみたい空間は、いろんな表現者が自分の思うままに表現できる空間なんだって。

それまでは飲食店中心だったんですけど、もっと暮らしベースで、表現者と触れられる場所作りは何かないかと探して、たどり着いたのがシェアハウスの事業でした。

―高濱さんもシェアハウスに住んでいたのですよね。

はい、3か所ほど。

いろんなシェアハウスに住んできて思ったことですが、まち視点で見ると溶け込んでいないというか、孤立化してるなと感じていました。

そこで、自分の思うままに表現できる空間を備えていることはもちろん、地域との深いつながりもあるような、そんな理想のシェアハウスを作りたいと考えました。

未経験のDIYへの挑戦とアキサポとの出会い

―“理想のシェアハウス”を“DIYで”という発想は割と自然な流れだったのでしょうか。

そうですね。私の作りたい空間は「表現者が自由に表現できる」空間で、家中に、住人が作ったものや、絵がたくさん装飾されているような、そんな状態が理想です。

その一歩目として、「自分たちで作ってみる」ことをやりたかったので、DIYにチャレンジしようを思いました。

完成されている場所でなく、未完成な場所をみんなで考えながら作っていくストーリーを大事にしたかったのと、単純に楽しそうと思ったのもあります。

ちなみに、今までDIYの経験は一度もないんですよ。

―未経験でもやってみよう!という姿勢がすごいですよね。 そんな高濱さんの“理想のシェアハウス作り”のお手伝いを、今回アキサポがさせていただいたわけなのですが、実際利用してみていかがでしたか。

正直、最初は不動産仲介だけする会社ぐらいに思っていました。

でも、実際には物件を紹介して終わり、ではなく、その後も不安なところがあれば相談に乗ってくれて。

私が今回、一番心配だったのは、地域の方々とつながれるかということでしたが、担当の方が地域の色々な方を紹介してくださったので、すぐに受け入れてもらえたと感じています。

こうして、契約後もフォローしていただきながら活用できたことは本当によかったです。

あとは、紹介いただく物件の自由度ですね。DIY可能な物件の取り扱いが多いのも魅力に感じました。

―アキサポでは、活用にあたって周辺の地域のみなさまの想いも大切にしていますので、高濱さんのようなご利用者にめぐり会えて私たちも光栄でした。さて、初めてのDIYはいかがでしたか。

やっぱり最初は不安でした。
DIYはど素人ですし、メンバーも全然いなかったし…

それに昔から知っている街でもなかったので、街の人が受け入れてくれるのかも不安でした。

でも、実際にやってみると、周りの友人がすごく興味を持ってくれて、色々な方からのアドバイスを聞きながら、たくさんの人と作業するができました。

また、地域に住んでいる大工さんや電気屋さんのおじさんも作業中によく話しかけてくれて、いろんな工具を貸してくれたり、アドバイスをしてくれたりして、とても親切にしてもらえたことが嬉しかったです。

みんなで作りあげることに不安はありましたが、実際にやってみると楽しいことばかりでした。

―地域の方々とのつながりは、当初から高濱さんが気にされていた点でしたが、そうした交流も生まれたのですね。

はい、最初はよそ者が来たと冷たい反応されるかと心配していましたが、今ではすっかり溶け込ませてもらっています。

いらなくなったエアコンをくださった方や、定期的に様子を見に来てくださる方もいます。

地域に溶け込もうという姿勢はちゃんと見てくれている方がいるんだなと感じました。

≪地域の方々が自ら工具を持って手伝いに来てくれたことも。地域の方々とのつながりを感じるエピソードの一つ≫

―当初のコンセプトどおりに進めることができたのもひとえに高濱さんのそういった姿勢の賜物と思います。一方で、「ここに苦労したな」という点はありますか。

デザインや計画にすごく時間がかかりました。デザインも場所のコンセプトにあったようなものにしたいという想いはありつつもコンセプト自体がふわふわとしていたので、自分でもなかなか言葉にできず、さらにそれをデザインに落とし込むことが難しかったです。

でも、DIY自体を難しいと感じることは全然なかったです!

きっとDIYの難しさの一つに、DIY専用の工具の使い方があると思うのですが、それはある程度DIYを知っている方や、地域の大工さんが見かねて手伝ってくれたので、困ることはありませんでした。

―確かに普段なじみのない工具もありますよね。DIY初挑戦であった高濱さんがおすすめする工具は何かありますか。

おすすめの工具は、バールですね。

基本的に工具はほとんど買っていませんが、バールだけは買っていたので、解体する時以外にもいろいろ役に立ちました。

≪作業中も笑顔が絶えない。バールはここでも大活躍≫

シェアハウス「いっぽ」が目指す三つの“場所”

―お話を伺っているまさに今もDIYは進行中ですが、進捗状況はどうですか。

当初は、1階のガレージ部分も、2階の居住部分も、自分たちで使いやすいように工夫をしながらDIYを進めていく予定でした。

しかし、時間が足りない関係もあり、現在はまだ1階のガレージ部分しか手をつけられていないです。

2階の居住部分は、住人と一緒に作っていく予定です。
住みながら、スペースの活用を話し合って作業を進めます。

―そうやって住みながら作り上げていくのも、既製の住宅にはない、DIYならではの魅力ですよね。

はい!まずは、もっと暮らしやすくするために、収納スペースを増やすことを考えています。

また、クリエイターや表現者がいつでも作業できるスペースも作りたいなと。

これは実際にクリエイターに話を聞きながら進めていく予定です。

―完成後はどんな場所にしたいですか。

シェアハウス「いっぽ」の目指すものは、三つあります。

 一つ目は、「その場に関わる人の想いが表現できる場所作り」です。シェアハウスの住人が、いつでも自分の想いを表現できるように、作業できるスペースを確保したり、いつでもイベントを開ける状態にしたりしたいです。将来的には「いっぽ」のサイトで、住人が作ったものを販売することも考えています。

 二つ目は、「地域の人たちの交流の場所作り」です。このシェアハウスを拠点に地域とつながりを作って、街からも愛される場所となりたいです。そのために、1階のオープンスペースを、街の人がいつでもイベントや交流会を開ける場として提供していきたいです。

 三つ目は、「家族のような、ホッとする温かいシェアハウス作り」です。私自身が7人家族と家族が多かったので、いつでもみんながいる温かい場所を作りたいという思いがあります。

住む人はみな生まれも文化も違うけれど、お互い家族のように想いあえるような関係を築いていきたいですね。

≪当初は2名で始めたDIYも、少しずつ仲間が増えてきた。写真は、1階のガレージ部分で行った、アーティストの作品の展示・販売イベントの様子≫

空き家を使うことで、地域の人も喜んでくれる。そして自分にとっても挑戦する場所ができる。

―最後に、高濱さんよりアキヤノワダイ読者へのメッセージをお願いします。

今回、私はアキサポに出会うことで、挑戦の場を自分で作ることができました。

アキサポは、空き家と自分をつなげてくれるだけでなく、その先の活動まで応援してくれる、とても心強いサービスです。

空き家やDIYについても知識がなく、施設の運営もしたことがない私でしたが、アキサポの担当者の方からいろいろなアドバイスをいただいたり、街に溶け込むためにいろんな方につなげていただいたりしたおかげで、全く初心者の私でも安心して、挑戦することができました。

空き家を使うことで、地域の人も喜んでくれる。

そして自分にとっても挑戦する場所ができる。

これからもこの場所を使って多くの人とつながりながら、素敵なシェアハウスを作っていく予定です。
ぜひ、みなさんの挑戦を叶える手段として、空き家の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

弱冠24歳という若さで理想のシェアハウス作りという挑戦への一歩を踏み出した高濱さん。今回も忙しい合間をぬって、インタビューに応じることを快諾してくださいました。その前向きできらきらした姿に私も勇気づけられました。アキサポはこれからも全力で高濱さんの挑戦を応援します。 
(聞き手:ジェクトワン 荻野/記事:ジェクトワン 荻野・山根)